料金プランやサービスが多様化する中で、「どの電力会社を選べば本当に我が家にとってお得なの?」と悩む方も少なくないでしょう。
本記事では、国内有数のエネルギー企業グループが運営する「ENEOSでんき」に焦点を当て、特に一般家庭向けの電力プランを中心に、その特徴、メリット・デメリット、そして他社との比較を徹底的に分析します。2025年の最新情報も踏まえ、あなたの家庭に最適な電力会社選びの一助となることを目指します。
ENEOSでんきとは? – 信頼と実績のエネルギー供給
ENEOSでんきは、私たちの生活に身近なガソリンスタンド「ENEOS」ブランドで知られるENEOSホールディングス株式会社が100%出資するENEOS Power株式会社によって運営されています。ENEOS Power株式会社は、2024年4月1日にENEOS株式会社の電気・都市ガス事業を分社化して誕生した、エネルギー供給の新たな担い手です 。
ENEOSグループは、国内最大手の石油元売企業として確かな地位を築いており、そのブランド力は多くの家庭にとって「大手ならではの安心感」につながっています。電力事業への参入も早く、1998年から産業向けの電力供給を開始し、電力小売全面自由化に伴い2016年から家庭向け電力サービス「ENEOSでんき」の提供をスタートさせました 。2020年には、複数のブランド名で展開していた家庭向け電力サービスを「ENEOSでんき」に統一し、より分かりやすいブランドイメージを構築しています 。
ENEOSでんきは、2025年1月の新電力販売量ランキングで第4位、家庭向け低圧電力供給でも第5位と、業界内でも高い評価を得ています。
一般家庭向け料金プランを調査・解説!
ENEOSでんきの一般家庭向け主要プランは「Vプラン」です 。供給エリア(例:関西・中国・四国エリア )によっては「Aプラン」という名称で提供されている場合もありますが、ここでは東京電力エリアにおける「東京Vプラン」を中心に詳しく見ていきましょう。
このVプランは、地域の大手電力会社(東京電力エリアでは東京電力エナジーパートナー)の標準的なプラン(例:従量電灯B、スタンダードS)と比較して、電気料金が割安になるように設計されているのが特徴です 。特に、月々の電気使用量が多い家庭ほど、その割引の恩恵を大きく受けられる傾向にあります 。
料金体系(東京Vプラン)
ENEOSでんき「東京Vプラン」の料金は、主に「基本料金」と「電力量料金」の二つの要素で構成され、これに「燃料費調整額」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が加減算されて最終的な請求額が決まります。
基本料金
契約するアンペア数に応じて固定的に発生する料金です。東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)の「スタンダードS/L」プランと同額に設定されています 。
具体的な料金(税込)は以下の通りです。
契約アンペア数(A) | 基本料金(税込) |
---|---|
10A | 311.75円 |
15A | 467.63円 |
20A | 623.50円 |
30A | 935.25円 |
40A | 1,247.00円 |
50A | 1,558.75円 |
60A | 1,870.50円 |
上記を超える場合(1kVAにつき) | 311.75円 |
電力量料金
実際に使用した電力量に応じて発生する料金で、使用量によって単価が3段階に分かれています 。東京電力EP「スタンダードS」と比較すると、第1段階(最初の120kWhまで)の単価は同額ですが、第2段階(120kWhを超え300kWhまで)と第3段階(300kWhを超える分)の単価が割安に設定されているのが特徴です。東京Vプランの電力量料金単価(税込/kWh)は以下の通りです。
使用量区分 | ENEOSでんき Vプラン (税込) | 東京電力 スタンダードSプラン (税込) | 差額 (ENEOS − 東京電力) |
---|---|---|---|
最初の120kWhまで | 29.80円/kWh | 29.80円/kWh | ±0.00円 |
120kWhをこえ300kWhまで | 34.85円/kWh | 36.40円/kWh | -1.55円 |
300kWhをこえる部分 | 36.90円/kWh | 40.49円/kWh | -3.59円 |
この料金設定から、電気の使用量が多い家庭ほど、東京電力EPのプランに比べて電力量料金を抑えられる可能性が高いことがわかります。
燃料費調整額
火力発電に用いる原油・LNG(液化天然ガス)・石炭といった燃料の価格変動を電気料金に反映させるための調整額です 。貿易統計における平均燃料価格が、あらかじめ定められた基準燃料価格を上回ればプラス調整(加算)、下回ればマイナス調整(減算)となります。この単価は毎月見直されます。
重要な注意点として、ENEOSでんきは2022年11月使用分(12月請求分)の電気料金から、この燃料費調整額の上限設定を撤廃しています。
これは、燃料価格が著しく高騰した場合、上限設定のある電力会社のプランに比べて調整額が大幅に上昇し、結果的に電気料金が高額になるリスクを消費者が直接的に負うことを意味します。
2025年6月分の東京電力エリアにおける燃料費調整単価は、東京電力EP「スタンダードS」と同額の「−6.39円/kWh」と想定されます(ENEOSでんきが東京電力EPの単価に準拠する場合)。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの買取費用を電気の利用者が広く負担するためのもので、国が定める単価に基づき全国一律で適用されます。
2025年度の単価は3.98円/kWhとなっており、2024年度の3.49円/kWhから0.49円/kWh値上がりしています 。
これは電力会社を問わず発生する費用ですが、毎月の電気料金総額に影響を与えるため、認識しておく必要があります。
燃料費調整額の上限撤廃後も、安心の安定傾向
近年、一部の新電力会社では「燃料費調整額の上限設定」を撤廃する動きが見られ、電気代が大きく変動するのではと不安に感じる方も少なくありません。ENEOSでんきも上限設定を設けていないプランではありますが、実際の調整額の推移を見てみると、この1年間(2024年5月~2025年5月)を通して安定的な水準で推移していることがわかります。
たとえば、関東エリアにおける燃料費調整単価(税込)は、▲5.64円/kWh(2024年5月)から始まり、▲6円台を中心に緩やかに推移。2025年5月時点でも▲6.19円/kWhと、極端な上昇や乱高下は見られていません。(※▲=マイナスの意味です。燃料価格が基準価格を下回っていることを意味し、電気料金に加算されるはずだった燃料費調整額が減額される、またはマイナスになるからです。具体的には、燃料価格の変動を反映する仕組みとして、毎月燃料費調整額が見直され、燃料価格が安い場合は電気料金から差し引かれる、またはその分安くなる仕組みです。2024年5月に300kWhを利用したご家庭の場合、-5.64円×300(kWh)=294.36円が電気代から引かれます。)
これは、ENEOSグループが全国に複数の自社発電所を保有しており、エネルギー調達力に優れていることが安定供給と価格コントロールに寄与している結果とも言えます。
上限撤廃という言葉に不安を感じるかもしれませんが、実際には落ち着いた価格推移が続いているため、長期的にも安心して利用できる電力サービスのひとつと言えるでしょう。
料金比較シミュレーション
実際にENEOSでんき「東京Vプラン」が東京電力EP「スタンダードS」と比較してどれくらいお得になるのか、いくつかの契約アンペアと月間使用電力量のケースで試算してみましょう。以下の表は、2025年6月時点の料金単価(燃料費調整単価:−6.39円/kWh、再エネ賦課金:3.98円/kWhを適用)に基づいた月額料金の目安です。
ENEOSでんき「東京Vプラン」 vs. 東京電力EP「スタンダードS」料金比較(2025年6月想定、税込)
契約アンペア | 月間使用電力量 | ENEOSでんき 「東京Vプラン」 月額目安 | 東京電力EP 「スタンダードS」 月額目安 | 差額(ENEOSでんき - 東京電力EP) |
30A | 200kWh | 約6,817円 | 約6,941円 | 約−124円 |
40A | 300kWh | 約10,373円 | 約10,652円 | 約−279円 |
40A | 400kWh | 約13,822円 | 約14,460円 | 約−638円 |
50A | 500kWh | 約17,583円 | 約18,580円 | 約−997円 |
※上記試算は基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金を合算したもので、各種割引(にねんとく2割など)は含んでいません。実際の請求額は契約状況や燃料価格の変動により異なります。
この試算からも分かる通り、電気使用量が増えるほど、ENEOSでんきの料金的なメリットが大きくなる傾向にあります。これは、第2段階、第3段階の電力量料金単価が東京電力EPよりも割安に設定されているためです。
しかし、ENEOSでんきの基本料金および第1段階の電力量料金単価は、東京電力EP「スタンダードS」と同等です 。このため、ENEOSでんきの実質的な価格競争力は、第2段階以降の電力量料金単価の安さと、後述するガソリン割引や「にねんとく2割」といった各種割引特典をどれだけ活用できるかにかかっています。これらの割引を最大限に享受できないユーザーにとっては、他の電力会社と比較した場合の魅力が相対的に低下する可能性も考慮すべきでしょう。
この料金設計と燃料費調整の上限撤廃という特徴は、電気料金の予測安定性を最優先する家庭よりも、ある程度のリスクを許容しつつ、ガソリン割引などの特典を積極的に活用できる特定のライフスタイルを持つ家庭(例えば、日常的に車を頻繁に利用する多人数世帯など)に、より適していると言えるかもしれません。
ENEOSでんきのメリット・デメリット
ENEOSでんきの魅力・メリット
ENEOSでんきは、単に電気料金の安さを追求するだけでなく、利用者のライフスタイルに合わせた多彩な特典を提供している点が大きな魅力です。特にENEOSグループならではのサービスとの連携は、他社にはない独自の強みと言えるでしょう。
電気使用量が多い家庭ほどお得な料金設定
前述の通り、ENEOSでんきの「Vプラン」は、電気の使用量が増えるほど電力量料金の単価が割安になる料金体系を採用しています。
特に月間300kWhを超えるような電力消費量の多い家庭では、地域の大手電力会社の標準的なプランと比較して、年間で数千円から一万円以上の節約効果が期待できると試算されています。
例えば、東京電力エリアのVプランでは、4人家族(月間使用量400kWh想定)で年間約8,620円、5人以上の家族(月間使用量500kWh想定)では年間約13,160円お得になるというデータもあります(燃料費調整額・再エネ賦課金を含まず、「にねんとく2割」適用の場合など、条件により変動)。
この特徴は、ENEOSでんきがどのような顧客層を主なターゲットとしているかを示唆しており、具体的な節約額の提示は消費者にとって大きな魅力となります。
ただし、これらの試算には燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金が含まれていない場合や、特定の割引が適用されているケースがあるため、実際のメリットを判断する際には注意が必要です。
ガソリン代割引 – ENEOSカードユーザー必見
ENEOSでんきの最大の魅力の一つが、ENEOSカードとの連携によるガソリン代割引です。電気料金の支払いに特定のENEOSカード(Cカード、Pカード、Sカード、NICOSカード)を利用すると、通常のカード特典に加えて、ガソリン・灯油・軽油代が1リットルあたりさらに1円引きになります(月間最大150Lまで)。日常的に車を利用し、ENEOSのサービスステーションで給油する家庭にとっては、この特典だけで年間数千円単位の節約に繋がる可能性があります。例えば、月に100L給油する家庭であれば、年間1,200円の割引です。月間150Lという上限も、一般的な家庭の利用状況を考えれば十分な範囲と言えるでしょう。
また、ENEOSカードCBを利用する場合は、ガソリン代割引の代わりに、毎月の電気料金から100円(税込)が直接割引される特典もあります。どちらのカードを選ぶかは、ガソリンの使用量や電気料金の支払い総額などを考慮して検討すると良いでしょう。
Vポイント(旧Tポイント)や提携カードでのポイント還元
ガソリン割引以外にも、ポイント還元プログラムが充実している点もENEOSでんきの特徴です。ENEOSカードや特別提携カード以外のクレジットカード、または口座振替で電気料金を支払う場合、電気料金200円(税抜)につきVポイント(旧Tポイント)がポイント貯まります。
さらに、ANAカード、dカード、ティーエスキュービックカード、レクサスカード、エムアイカード、ビューカード、楽天カード、セブンカード・プラス/セブンカード、エポスカードといった特別提携カードで支払うと、それぞれのカード会社が提供するポイントやマイルが優遇レートで貯まります。例えば、dカードであれば通常のポイントに加えて200円(税込)につき1ポイントが、楽天カードも同様に200円(税込)につき1ポイントが追加で付与されます。
これらのポイント還元は、日々の生活で賢くポイントを貯めている方にとっては見逃せないメリットです。ただし、ENEOSカードによるガソリン割引との併用はできないため、どちらの特典が自身のライフスタイルにとってよりお得になるかを比較検討することが重要です。
長期契約割引「にねんとく2割」
ENEOSでんきを2年以上継続して利用する意思のある家庭向けには、「にねんとく2割」というオプション割引が用意されています。
このオプションに加入すると、電力量料金が1kWhあたり、契約から2年間は0.20円(税込)、3年目以降は0.30円(税込)割引されます。月々の電気使用量が400kWhの家庭であれば、1~2年目は月々80円、3年目以降は月々120円の割引となります。これはENEOSカードCBの月100円割引と比較しても遜色ない、あるいはそれ以上のメリットとなる可能性があります。
しかし、この割引単価はそれほど大きくないため、後述する解約金のリスク(契約更新月以外の解約で1,100円)とのバランスを考慮する必要があります。
EV(電気自動車)ユーザー向け特典
環境意識の高まりとともに普及が進む電気自動車(EV)ユーザーにとっても、ENEOSでんきは魅力的な選択肢を提供しています。
深夜時間帯(午前1時~午前5時)の電気料金が割安になる「EV夜とくプラン」が用意されています。自宅で夜間にEVを充電するライフスタイルの方にとっては、ランニングコストの削減に直結するでしょう。
また、ENEOSでんきの契約者は、ENEOSグループが展開するEV充電サービス「ENEOS Charge Plus」の急速充電器を利用する際に、料金割引が受けられる特典もあります。
安心の「電気の困った!相談窓口」
万が一の電気トラブルに備え、ENEOSでんきでは「電気の困った!相談窓口」を提供しています。これは、電気、家鍵、ガラスのお困りごとに24時間365日体制で電話相談に応じてくれるサービスです。
さらに、電話で解決できないお困りごとはビデオ通話で対応。口頭ではなかなか説明できない点についても、ビデオ通話にすることで、うまく説明できない点を映像を見せることで原因判明や解決の糸口を探すのに役立ちます。
最後に、有償のサービスになってしまいますが出張作業の手配もしてくれます。(有償サービスの一例(管球交換:14,000 円~、スイッチ/コンセント交換:16,500 円~、ピッキング解錠 20,000 円~など)
新電力への切り替えに際して、万が一の際のサポート体制に不安を感じる方にとっては、心強いサービスと言えるでしょう。
これらのメリットを総合的に見ると、ENEOSでんきは単に電気を供給するだけでなく、ENEOSグループの持つ様々なリソース(ガソリンスタンド網、カード事業、都市ガス事業など)を組み合わせることで、利用者の生活全体をサポートし、実質的な価値を提供しようという戦略が見えてきます。特にガソリン割引は、他の新電力にはないENEOSならではの強力な武器であり、車を頻繁に利用する層にとっては、電力会社選択の決定的な要因となり得るでしょう。
ENEOSでんきのデメリットと注意点
ENEOSでんきには多くの魅力的なメリットがある一方で、契約前に理解しておくべきデメリットや注意点も存在します。これらを事前に把握しておくことで、後悔のない電力会社選びが可能になります。
料金プランの選択肢は限定的
一般家庭向けの料金プランは、実質的に「Vプラン」(またはエリアによって「Aプラン」)の1種類のみです。
これは、プランがシンプルで分かりやすいという利点がある一方で、特定の時間帯に電気使用量が多い家庭向けのプラン(例:夜間割引プラン)や、毎月の電気料金が一定になる定額プランなど、多様なライフスタイルに合わせた選択肢がないことを意味します。
細やかなプラン選択を通じて電気料金を最適化したいと考えるユーザーにとっては、物足りなさを感じるかもしれません。
電気使用量が少ない家庭への影響
ENEOSでんきの料金体系は、電気を多く使うほど割安になる設計ですが、裏を返せば、電気使用量が少ない家庭にとってはメリットが出にくい構造になっています。
電力量料金の第1段階(東京Vプランでは~120kWh)の単価は、地域の大手電力会社と比較して大幅に安いわけではありません。
そのため、一人暮らしや日中不在がちな二人暮らしなど、月々の電気使用量が少ない世帯では、期待したほどの節約効果を実感できない可能性があります。また、基本料金が設定されているため、長期間家を空けるなどして電気を全く使用しなかった月でも、基本料金分の支払いは発生します。
この点は、基本料金無料のプランを提供している他の新電力と比較した場合のデメリットとなり得ます。
「にねんとく2割」の解約金条件
長期契約割引である「にねんとく2割」は魅力的なオプションですが、契約期間の縛りが伴います。
このオプションを契約している場合、契約更新月(適用開始から23ヶ月目および24ヶ月目、以降も同様のサイクル)以外で解約すると、1,100円(税込)の解約金が発生します。特に注意が必要なのは、この解約金は引越しによる解約の場合でも原則として発生する点です(ただし、引越し先でもENEOSでんきを継続利用する場合は免除されます)。
2年という契約期間は新電力では比較的標準的ですが、転勤が多い家庭や、より条件の良い電力プランへ柔軟に乗り換えたいと考えているユーザーにとっては、この解約金が心理的なハードルとなる可能性があります。
解約金の金額自体は他社と比較して高額ではないものの、その存在と適用条件は十分に理解しておく必要があります。
オール電化住宅向けプランのが限定的な提供
従来、ENEOSでんきには、夜間電力がお得になるような一般的なオール電化住宅向けの専用プランは提供されていませんでした。そのため、既にオール電化プランを利用している家庭がENEOSでんきに切り替えると、電気料金が大幅に高くなってしまうケースが多く見られました。
しかし、2025年3月から、北海道・東北・関東エリア限定で「オール電化プラン」の提供が開始され、キャンペーンも実施されているようです。
該当エリアのオール電化住宅にお住まいの方は、オール電化プランへのお申込みが可能ですが、それ以外のエリアの方は提供拡大を待つしかないため依然としてオール電化住宅には不向きというデメリットがあります。
都市ガスセット割の適用
ENEOSでんきは「ENEOS都市ガス」とのセット契約で、電気料金が毎月100円(年間1,200円)割引になる「ガスセット割」を提供しています。これは、光熱費をまとめて管理したい家庭にとっては便利な制度です。
対象エリアは東京ガスエリアまたは京葉ガスエリアにお住まいの方限定です。
また、このセット割の割引額は月額100円の固定であり、使用量に応じた割引率ではない点にも注意が必要です。自身の使用状況と照らし合わせて比較検討することが大切です。
競合他社との比較:ENEOSでんきの位置づけ
ENEOSでんきのメリット・デメリットはわかったけれど、結局、気になるのは「他社と比べてどこがどう違うのか」という点です。
ENEOSでんきは、ガソリン代の割引やポイント還元などユニークな特典を備えた新電力ですが、その実力は他の主要な電力会社と比べてどのような立ち位置にあるのか。
勝手ながら、東京電力エリアで選択肢となる主要な電力会社――東京電力エナジーパートナー(スタンダードS)、Looopでんき(スマートタイムONE)、楽天でんき(プランS)、auでんき(でんきMプラン)とENEOSでんきの「東京Vプラン」を、料金・特典・リスクの観点から比較してみます。
東京電力エナジーパートナー「スタンダードS」
料金
ENEOSでんき「東京Vプラン」の基本料金と第1段階(~120kWh)の電力量料金単価は、東京電力EP「スタンダードS」とほぼ同水準です。違いが現れるのは第2段階(120kWh超~300kWh)と第3段階(300kWh超)の電力量料金で、ここではENEOSでんきの方が割安な単価設定となっています。そのため、月々の電気使用量が多い家庭ほど、ENEOSでんきの方が料金的なメリットが出やすい傾向にあります(前掲の表1参照)
燃料費調整額
両社とも、2025年現在、燃料費調整額の上限は設定されていません。これは、燃料価格が高騰した際には、両社ともに電気料金が大きく変動するリスクを抱えていることを意味します。2025年6月の燃料費調整単価は、両社とも同額(−6.39円/kWh)と想定されます。
特典
ENEOSでんきは、ENEOSカードとの連携によるガソリン代割引やVポイント還元が主な特典です。一方、東京電力EPは、独自のポイントプログラム「くらしTEPCO webポイント」を提供しており、貯まったポイントはVポイントやPontaポイント、Amazonギフトカードなどに交換可能です。また、「生活かけつけサービス」といった付帯サービスも提供しています。
ガスセット割
ENEOSでんきは「ENEOS都市ガス」とのセット契約で電気料金が月100円割引になります。東京電力EPも「とくとくガスプラン」など自社のガスサービスとのセット契約で、電気料金が年間1,200円(月100円)割引になる「ガスセット割」を提供しています。割引額は同等です。
解約金
両社とも、標準的なプラン(ENEOSでんきVプラン、東京電力EPスタンダードS)では基本的に解約金は発生しません。ただし、ENEOSでんきの「にねんとく2割」オプションを契約している場合は、更新月以外の解約で1,100円の解約金がかかります。
総評
基本的な料金構造は類似していますが、ENEOSでんきは「ガソリン割引」という明確な差別化要因を持っています。ライフスタイルによってはこれが大きな決め手となるでしょう。燃料費調整の上限がない点は共通のリスク要因です。
Looopでんき「スマートタイムONE(電灯)」
料金
Looopでんきの最大の特徴は、基本料金が0円である点です(ただし、2025年4月から託送料金相当額などを基本料金として徴収する料金体系に変更されており、実質的な固定費は発生します)。電力量料金は、日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格に30分ごとに連動して変動する「市場連動型」です。これに固定従量料金(託送料金、サービス料など)が加算されます。電源料金の計算式は「使用量 × {エリアプライス ÷ (1 - エリア損失率) × 1.1(消費税等相当額)}」とされています。
燃料費調整額
Looopでんきには、ENEOSでんきや東京電力EPのような「燃料費調整額」という項目はありません。しかし、電源料金自体が市場価格に連動するため、実質的に燃料価格の変動リスクを負うことになります。
特典
ENEOSでんきはガソリン割引やVポイントが中心です。Looopでんきは、キャッシュバックキャンペーンなどが実施されることがあります。
ガスセット割
ENEOSでんきは電気料金が月100円割引。Looopでんきは「Looopでんき+ガス」を契約すると、電気の固定従量料金単価から1円/kWhが割引されます(東京電力エリア限定)。
解約金
ENEOSでんきのVプラン同様、Looopでんきも基本的に解約金はかかりません。
支払い方法
ENEOSでんきはクレジットカードと口座振替に対応しています。Looopでんきは原則としてクレジットカード払いのみです。
総評
Looopでんきは、電気の市場価格が安い時間帯に集中的に電気を使用するなど、ライフスタイルを工夫できる人や、価格変動リスクをある程度許容できる人向けのプランです。ENEOSでんきは、より伝統的な3段階料金プランであり、比較的安定志向のユーザーに適していると言えます(ただし、燃料費調整額の上限がない点はリスクです)。
楽天でんき「プランS」
料金
楽天でんき「プランS」は基本料金0円が大きな特徴です。電力量料金は、使用量にかかわらず一律の単価(東京電力エリアで36.85円/kWh)が適用されます。ENEOSでんきは契約アンペアに応じた基本料金があり、電力量料金は3段階制です。
燃料費調整額
楽天でんきは、燃料費調整額の代わりに「市場価格調整額」を導入しており、これもJEPXのエリアプライスに連動します。実質的に上限なしの価格変動リスクがある点はENEOSでんき(燃料費調整額)と共通しています。
特典
ENEOSでんきはガソリン割引やVポイントが中心。楽天でんきは、楽天ポイントの還元が最大の魅力です。電気料金の支払い(200円につき1ポイントなど)に加え、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の達成条件にもなり、楽天市場での買い物がお得になります。
ガスセット割
ENEOSでんきは電気料金が月100円割引。楽天でんきは「楽天ガス」とのセット契約で、楽天ポイントの増量やキャンペーンによる特典(過去にはガス基本料金無料など)が提供されることがあります。
解約金
両社とも、標準プランでは基本的に解約金は発生しません。
支払い方法
ENEOSでんきはクレジットカードと口座振替に対応。楽天でんきは原則としてクレジットカード払いのみです。
総評
楽天ポイントを積極的に活用している「楽天経済圏」のユーザーにとっては、楽天でんきが非常に魅力的な選択肢となります。基本料金0円は大きなメリットですが、電力量料金が一律である点や市場価格調整額のリスクを考慮する必要があります。
auでんき「でんきMプラン(東京D)」
料金
auでんきの「でんきMプラン」も、ENEOSでんき「東京Vプラン」と同様に、契約アンペアに応じた基本料金と3段階の電力量料金制を採用しています。ただし、具体的な料金単価は異なり、比較するとauでんきの方がやや割高に設定されている場合があります。
燃料費調整額
auでんきも2022年11月利用分から燃料費調整額の上限を撤廃しています。2025年6月の東京電力エリアにおける燃料費調整単価は「−5.79円/kWh」と発表されており、ENEOSでんき(東京電力EPと同額と仮定した場合の−6.39円/kWh)と比較すると、auでんきの方が調整額によるマイナス幅が小さく、実質的な負担が大きくなる可能性があります。
特典
ENEOSでんきはガソリン割引やVポイントが中心。auでんきは、電気料金の支払額に応じてPontaポイントが還元されるのが特徴です(月額8,000円未満で0.5%、8,000円以上で1%など)。
ガスセット割
ENEOSでんきは電気料金が月100円割引。auでんきは、「auガス(東京ガス for auなど)」とのセット契約で、ガス料金から月102円が割引されるか、またはPontaポイントが還元される特典があります。
解約金
両社とも、標準プランでは基本的に解約金は発生しません。
支払い方法
両社ともクレジットカードと口座振替に対応しています。
総評
auの携帯電話ユーザーやPontaポイントを積極的に貯めている方にとっては、auでんきが有力な選択肢となります。ただし、料金単価や燃料費調整単価については、ENEOSでんきと細かく比較検討する必要があるでしょう。
比較表
特徴項目 | ENEOSでんき (東京Vプラン) | 東京電力EP (スタンダードS) | Looopでんき (スマートタイムONE) | 楽天でんき (プランS) | auでんき (でんきMプラン東京D) |
運営母体 | ENEOS Power (ENEOSグループ) | 東京電力グループ | 株式会社Looop | 楽天グループ | KDDIグループ |
基本料金 | 契約アンペア別 (東電EPと同等) | 契約アンペア別 | 実質あり(託送基本料金等) | 0円 | 契約アンペア別 |
電力量料金 | 3段階制、使用量多いほど割安傾向 | 3段階制 | 市場連動(30分毎変動)+固定従量料金 | 一律単価 | 3段階制 |
燃料費/市場価格調整 | 燃料費調整額(上限なし) | 燃料費調整額(上限なし) | 電源料金が市場連動(実質上限なし) | 市場価格調整額(上限なし) | 燃料費調整額(上限なし) |
主な特典 | ガソリン割引(ENEOSカード)、Vポイント、にねんとく2割、EV特典 1 | くらしTEPCOポイント、生活かけつけサービス | キャンペーンによるキャッシュバック等 | 楽天ポイント(SPU連携等) | Pontaポイント還元 |
ガスセット割 | 電気代月100円割引(ENEOS都市ガス) | 電気代月100円割引(とくとくガスプラン等) | 電気従量料金1円/kWh割引(Looopガス) | ポイント増量等(楽天ガス) | ガス料金月102円割引等(auガス) |
契約期間 | 1年自動更新(Vプラン) | 指定なし | 1年自動更新 | 定めなし | 指定なし |
解約金 | Vプランはなし。「にねんとく2割」は条件により1,100円 | なし | なし | なし | なし |
支払い方法 | クレカ、口座振替 | クレカ、口座振替、コンビニ | 原則クレカのみ | 原則クレカのみ | クレカ、口座振替 |
この比較から、ENEOSでんきを含む多くの新電力が、燃料費調整額やそれに類する市場価格調整額において上限を設けていない傾向が見て取れます。これは、消費者が国際的な燃料価格の変動リスクをより直接的に負う時代になっていることを示唆しています。電力会社を選ぶ際には、このリスクを十分に理解し、自身の許容度と照らし合わせることが不可欠です。
また、各社はそれぞれ異なる強みで差別化を図っています。ENEOSでんきはENEOSグループのガソリンスタンド網との連携による「ガソリン割引」、楽天でんきは広大な「楽天経済圏」でのポイントプログラム、auでんきは自社の通信サービスとの連携やPontaポイント、Looopでんきは「市場連動型」というユニークな料金体系とアプリを活用した能動的な節約提案が特徴です。
これからは、単純な電気料金単価の比較だけでなく、これらの企業が提供するエコシステム全体でのメリットを考慮し、自身のライフスタイルに最も合致する電力会社を選択することが求められます。
「どの電力会社が一番安いか」という問いに対する答えは、個々の電気使用量、ライフスタイル(車の利用頻度、ポイントの活用度、ガス契約の状況など)、そして価格変動リスクに対する許容度によって大きく変わるため、一概には言えません。この比較表をみて、その選択を行う上での判断基準をなってくれればと考えています。
ENEOSでんきは、こんなご家庭におすすめ
ENEOSでんきの料金プランや各種特典、そしてデメリットを踏まえた上で、どのような家庭やライフスタイルの方に特におすすめできるのか、また、どのようなケースでは慎重な検討が必要なのかを具体的に見ていきましょう。
推奨される世帯タイプとライフスタイル
以下の特徴に当てはまる方は、ENEOSでんきのメリットを最大限に享受できる可能性が高いと言えます。
日常的に車を利用し、ENEOSのガソリンスタンドで給油する方
これがENEOSでんき最大の魅力の一つです。特定のENEOSカードで電気料金を支払うことで得られるガソリン・灯油・軽油代の割引(1円/L、月間最大150Lまで)は、家計全体の支出を抑える上で非常に効果的です。
電気の使用量が多いファミリー世帯
ENEOSでんきの「Vプラン」は、月々の電気使用量が300kWhを超えるあたりから、地域の大手電力会社の標準プランと比較して料金的なメリットが大きくなる傾向にあります。特にオール電化ではない、電力消費の多いご家庭には適しているでしょう。
Vポイント(旧Tポイント)や提携クレジットカードのポイントを積極的に貯めたい方
支払い方法に応じてVポイントが貯まるほか、ANAカードやdカード、楽天カードなど、多くの提携クレジットカードでポイントやマイルの優遇が受けられます。ポイ活に熱心な方にとっては見逃せないメリットです。
長期契約に抵抗がなく、安定した割引を求める方
2年契約の「にねんとく2割」に加入すると、電力量料金が1kWhあたり0.2円~0.3円割引されます。引越しの予定が当面なく、同じ電力会社を長く使いたいと考えている方には、着実な節約に繋がります。この割引を最大限に活かすには、複数の条件(例:ENEOSカード保有+高使用量+長期契約意思)を満たすことが理想的ですが、いずれか一つだけでもメリットはあります。
EV(電気自動車)を所有し、自宅で充電する方
深夜電力がお得になる「EV夜とくプラン」や、EV充電サービス「ENEOS Charge Plus」の割引特典は、EVユーザーにとって直接的なコスト削減に貢献します。
大手の安心感・サポート体制を重視する方
ENEOSという国内最大級のエネルギー企業グループが運営しているという点は、新電力への切り替えに不安を感じる方にとって大きな安心材料となるでしょう。また、「電気の困った!相談窓口」では、電気がつかない、家の鍵を紛失して困っているなどのお困りごとに24時間・365日お電話で無料対応してくれるので、「もしも」の時に頼りにしたい電力会社を探している方にはぴったりでしょう。
契約を慎重に検討すべきケース
一方で、以下のようなケースに当てはまる場合は、ENEOSでんきが必ずしも最適な選択とならない可能性があります。
電気の使用量が少ない一人暮らしや二人暮らしの方
料金メリットを実感しにくい可能性があります。基本料金があり、第1段階の電力量料金単価も突出して安いわけではないためです。
オール電化住宅にお住まいの方で関東より南にお住まいの方
一般的なオール電化向けプランが提供されていないエリアがあるため、関東より南のエリアでは、電気代が高くなる可能性が高いです。提供エリアの拡大を待つなどが必要です。
ガソリンや灯油をほとんど使わない方
ENEOSでんきの大きな魅力である燃料油割引の恩恵を受けられないため、他のメリット(ポイント還元など)で十分な魅力があるか検討が必要です。
契約期間の縛りや解約金を避けたい方
「にねんとく2割」を利用する場合、2年ごとの更新月以外での解約には1,100円の解約金が発生します。転勤が多いなど、2年以内に解約する可能性が高い方は注意が必要です。この解約金リスクと割引額のバランスを慎重に考える必要があります。
燃料価格高騰時の料金変動リスクを極力避けたい方
ENEOSでんきは燃料費調整額に上限を設定していません。これは、燃料価格が世界的に高騰した場合、電気料金が大幅に上昇するリスクがあることを意味します。料金の安定性を最優先する方には不向きかもしれません。
このように、ENEOSでんきが最適かどうかは、個々のライフスタイルや電気の使い方、そして何を重視するかによって大きく左右されます。メリットとデメリットを総合的に比較し、自身の状況に最も適した選択をすることが重要です。
7. ENEOSでんきの申し込みから利用開始まで
ENEOSでんきへの切り替えを検討する際、手続きの煩雑さや供給開始までの期間は気になるポイントです。ここでは、一般的な申し込みの流れや注意点について解説します。
手続きの流れ
ENEOSでんきへの申し込みは、主に公式ウェブサイトで行います。Webでの申し込みの場合、まず仮登録を行い、その後送られてくるメールの案内に従って本登録を完了させるのが一般的な流れです。申し込みが受け付けられると、受付完了のメールが届き、後日、契約内容や供給開始日などが記載された「ご使用開始のお知らせ」が書面で送付されます。
必要書類・情報
スムーズな申し込みのためには、事前に以下の情報を準備しておくと良いでしょう。
現在契約している電力会社の「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」または契約中の電力会社のマイページをご確認ください。
( ご契約中の電力会社名、ご契約中の電力会社のお客さま番号、ご契約名義 、供給地点特定番号、ご利用中のアンペア容量が記載されています)支払い方法に関する情報
(クレジットカード情報、または口座振替を希望する場合は口座情報)
これらの情報が正確であることは、手続きを滞りなく進める上で非常に重要です。特に供給地点特定番号は、電気の使用場所を特定するための固有の番号であり、誤りがあると切り替えができません。
供給開始までの期間
申し込み手続きが完了してから実際にENEOSでんきの電気が供給開始されるまでの期間は、申し込み方法や状況によって異なります。Webからの申し込みの場合、比較的スムーズに進めば約1~2週間程度で切り替えが完了することが多いようです。郵送での申し込みや、スマートメーターの交換工事が必要な場合などは、2週間~1ヶ月半程度かかることもあります。余裕を持ったスケジュールで申し込むことをお勧めします。
現電力会社への解約手続き
現在契約している電力会社からENEOSでんきへ切り替える場合、原則として現電力会社へ解約の連絡をする必要はありません。
ENEOSでんきへの申し込みが完了すると、ENEOSでんきが現在の電力会社との解約手続きを代行してくれます。これは、電力会社切り替えのハードルを大きく下げる便利な仕組みです。
ただし、引越しに伴って電力会社を切り替える場合は、現住所での電力契約の解約手続きを自身で行う必要があるケースもありますので、事前に確認が必要です。
全体として、ENEOSでんきへの切り替え手続きは、他の新電力への切り替えと同様に、比較的簡便に行えるようになっています。特にWeb申し込みを活用し、必要な情報を正確に準備しておけば、スムーズな移行が期待できるでしょう。
ENEOSでんき 最新キャンペーン情報(2025年)
電力会社を選ぶ際、料金プランやサービス内容と並んで重要なのが、お得なキャンペーンの有無です。ENEOSでんきでも、新規契約者や既存契約者向けに様々なキャンペーンが実施されてきました。ここでは、2025年5月時点で利用可能、または最近まで実施されていた主なキャンペーン情報について触れます。
現在利用可能なキャンペーン(2025年6月時点)
2025年3月3日より、北海道・東北・関東エリア限定で「オール電化プラン」または「自家消費応援プラン」に新規契約する方を対象としたキャンペーンが実施されています。
このキャンペーンでは、2025年5月31日までの契約で、電気料金が年間最大6,000円割引になるとされています。
このキャンペーンは、ENEOSでんきがこれまで手薄だったオール電化住宅や太陽光発電設備を持つ家庭といった特定の顧客層の獲得に力を入れ始めた動きと見ることができます。
一般家庭向けのVプランを対象とした大規模なキャンペーンが常時行われているわけではない点には留意が必要です。Vプランを検討している方は、キャンペーンの有無に左右されず、基本の料金プランや特典内容でメリットがあるかを慎重に評価することが求められます。
過去に実施された主なキャンペーン例
新生活応援キャンペーン
2025年1月31日から4月18日まで実施され、ENEOSでんきのVプランなどに新規申し込みをすると、月額500円(税込)が12ヶ月間割引されるなどの特典がありました。
ENEOSでんき/都市ガスまとめて切替キャンペーン
電気と都市ガスを同時に新規契約することで、QUOカードPayが進呈されるといった内容で、過去に複数回実施されています。
お引越し応援キャンペーン
ENEOSでんきの契約者が引越し先でも継続して利用する場合に、電気料金割引が適用されるキャンペーンも行われていました。
特典内容・適用条件・期間
各キャンペーンには、対象となる料金プラン、申し込み期間、供給開始の期限、対象エリアなど、細かな適用条件が設定されています。
そのため、キャンペーンを利用する際には、必ずENEOSでんきの公式サイトで最新情報を確認し、適用条件を隅々までよく読むことが非常に重要です。複数のキャンペーンが同時期に実施されている場合、併用が可能かどうか、あるいはどちらか一方しか適用されないのかといった点も確認が必要です。自身の状況に照らし合わせて、最も有利なキャンペーンを選択するリテラシーが求められます。
利用者のリアルな声:ENEOSでんきの口コミ・評判
電力会社を選ぶ上で、実際に利用している人の声は非常に参考になります。ここでは、ENEOSでんきの料金、サポート、特典に関する評判や口コミを、様々な情報源から集約して紹介します。
料金に関する評価
- 肯定的な意見: 「電気代が少しですが、安くなった」、「以前のプランよりもかなりやs区なりました。」この他にも、「車を毎日使う地域に住んでいるため、ガソリン代が安くなるというのはかなりありがたかった」などENEOSカードを持っているユーザーにとっては、ガソリン給油でも割引をされるので助かっている点が大きなメリットとして評価されています。
- 否定的な意見: 一方で、「電気使用量が少ない一人暮にとってはあまり安くならない、むしろ高くなったと感じる」、「太陽光パネルの設置を検討していて、太陽光を設置したら基本料金なしの方がオトクになりそう」 といった不満の声も少なくありません。「過去に値上げがあった」 ことに対する不満も見受けられました。 料金に対する満足度は、利用者の電気使用量、ENEOSカードの利用状況、そして世帯人数などの電気量の多さなど、様々な条件によって大きく左右されるようです。
サポートに関する評価
- 肯定的な意見: 「問い合わせに対する回答がスピーディーかつ丁寧だった」、「親切丁寧な対応で満足している」 といった、サポート対応を評価する声も一部には存在します。
- 否定的な意見: しかしながら、サポート体制に関しては厳しい意見が目立ちます。「サポートセンターの電話が繋がりにくい」「でんきとガスがセットで申し込んでもアカウントが統一されていない」、「ガスのほうは金額しかわからない」 といった具体的な不満が報告されています。特に、電話がつながりにくい時間帯がある点の不満が多く、これが顧客満足度を大きく下げている要因の一つと考えられます。
ENEOSブランドが持つ「大手の安心感」 というイメージと、実際のサポート体験との間にギャップを感じるユーザーが少なくないようです。
特典に関する評価
- 肯定的な意見: やはり「ENEOSカードを利用したガソリン代割引やポイント」は、利用者にとって非常に魅力的で、高く評価されています 。これがENEOSでんきを選ぶ最大の理由となっているユーザーも多いようです。
- 否定的な意見: ポイント還元に関しては、「ポイントを別のポイントに切り替えるようになればもっと節約につながる」「通信系の割引などとも抱き合わせがない」といった意見がありました 。
これらの口コミを総合すると、ENEOSでんきは、ガソリン割引という強力な武器を持ち、特定の条件下では料金的なメリットも期待できる一方で、サポート体制や手続きの円滑さ、特典をもっと期待しているなどで課題を抱えていると言えそうです。
ENEOSでんきはあなたの家庭に最適ですか?
ここまで、ENEOSでんきの概要、料金プラン、メリット・デメリット、そして競合他社との比較や利用者の評判を詳しく見てきました。最後に、これらの情報を踏まえ、ENEOSでんきがどのような家庭にとって最適な選択となり得るのか、そして最終的な判断を下すためのチェックポイントを整理します。
🔍 ENEOSでんきが向いている家庭とは?
適している家庭の特徴 | 理由・メリット |
---|---|
🚗 ENEOSのガソリンスタンドを頻繁に利用する家庭 | ENEOSカード支払いでガソリン・灯油が1円/L割引。月150Lまで対象で年間最大1,800円の節約に。 |
⚡ 月々の電気使用量が多い家庭(300kWh以上) | 東京Vプランは使用量が多くなるほど大手電力会社よりお得に。 |
🏢 安心感を重視する家庭 | 国内最大級のENEOSグループが提供しており、新電力でも安心感あり。 |
🚙 EVユーザーや深夜電力活用世帯 | EVプランや夜間の安価な電力を活かしてコスト削減可能。 |
🛠 万一のトラブルに備えたい方 | 「電気の困った!電話相談」などのサポート体制あり。 |
最終判断のためのチェックポイント
ご自身の家庭にとってENEOSでんきが最適かどうかを判断するために、以下の点を改めて確認してみてください。
- 月々の平均的な電気使用量はどのくらいですか?
(一般的に、月間300kWh以上使用する場合にメリットが出やすいとされています) - 日常的に車を運転し、ENEOSのガソリンスタンドで給油していますか?
また、その支払いにENEOSカードを利用していますか(または利用する予定がありますか)?(ガソリン割引を享受できるかどうかが大きなポイントです) - Vポイント(旧Tポイント)や、お持ちのクレジットカード(ANAカード、dカード、楽天カードなど)のポイントを積極的に貯めたいですか?
(ポイント還元プログラムが充実しています) - 2年程度の契約期間の縛り(「にねんとく2割」加入の場合)や、更新月以外の解約時に発生する可能性のある解約金(1,100円)について、どのように考えますか?
(転勤や引越しの可能性も考慮しましょう) - お住まいはオール電化住宅ですか?
(一般的なオール電化プランは、2025年5月現在、北海道、東北、関東エリアのみでの提供になっています。) - 都市ガスもENEOSでまとめて契約することを検討していますか?
(電気・ガスセット割のメリットがあり) - 万が一の電気トラブルの際に、24時間対応の電話相談(有料での工事出張サービス手配)があると安心できますか?
これらの質問にご自身の状況を照らし合わせ、メリットとデメリットを総合的に比較検討することで、ENEOSでんきがあなたの家庭にとって本当に「賢い選択」となるかどうかが見えてくるはずです。
また、燃料費調整額の上限撤廃や過去の料金改定の経緯を踏まえると、一度ENEOSでんきに切り替えたとしても、それで安心というわけではありません。定期的に電気料金の明細を確認し、市場の動向や他の電力会社のプランと比較検討する姿勢が、長期的に見て家計を守るためには重要となるでしょう。電力自由化時代の賢い消費者として、常に最適な選択肢を模索し続けることが求められています。